昔日の日本人の常識・名台詞

まだテレビが復旧していなかった頃、1964年東京オリンピックまでの時代、映画やラジオを除けば、舞台や寄席での芝居・落語などが娯楽の花形。名台詞はあまねく膾炙し、本日楠公登場となれば講談小屋はすし詰めとなっていました。当時の人なら常識。


誰のセリフでしょう? 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆新国劇「国定忠治・赤城山」☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 忠治 鉄――。
 巌鉄 へい。
 忠治 定八。
 定八 なんです、親分。
忠治: 赤城の山も今夜限り、生まれ故郷の国定の村や、縄張りを捨て、国(故郷)を捨て、可愛い子分のてめえ達とも 別れ別れになるかどで(首途)だ。

 定八: そういやあ 何だか 嫌に寂しい気がしやすぜ。
 巌鉄: ああ、雁が鳴いて 南の空へ飛んで往かあ!
 忠治: 月も西山に傾くようだあ。 
 定八: おらあ 明日からどっちへ行こう?
 忠治: 心の向くまま 足の向くまま、あても果てしもねえ旅に立つのだ。
 巌鉄・定八: 親分!
定八「ああ、円蔵兄ィが・・・。」
 忠治「あいつもやっぱり、故郷の空が恋しいんだろう。
加賀の国の住人、小松五郎義兼が鍛えた業物(わざもの)、万年溜の雪水に浄めて、俺にゃあ生涯手前という強い味方があったのだ。」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆「清水次郎長・三十石船」☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

石松「飲みねえ飲みねえ、寿司を食いねえ寿司を、もっとこっちへ寄んねえ、おう、江戸っ子だってねえ」
船客「神田の生まれよ」
石松「そうだってねえ。そんなに何か、次郎長にゃいい子分がいるかい?」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆楼門五三桐(さんもん ごさんの きり)☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

絶景かな、絶景かな。春の眺めは値千金とは小せえ、小せえ。この五右衛門には値万両、最早(もはや)陽(ひ)も西に傾き、誠に春の夕暮れに花の盛りもまた一入(ひとしお)、はて、うららかな眺めじゃなぁ。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)☆☆☆☆☆☆☆☆☆

知らざあ言って聞かせやしょう  浜の真砂と五右衛門が歌に残せし盗人の、種は尽きねえ七里ヶ浜、その白浪の夜働き、以前を言やあ江ノ島で、年季勤めの稚児が淵、百味講で散らす蒔き銭をあてに小皿の一文字、百が二百と賽銭の,くすね銭せえ段々に、悪事はのぼる上の宮、岩本院で講中の、枕捜しも度重なり、お手長講と札付きに、とうとう島を追い出され、それから若衆の美人局、ここやかしこの寺島で、小耳に聞いた爺さんの、似ぬ声色でこゆすりたかり名せえゆかりの弁天小僧菊之助たぁ俺がことだぁ!

★★★★

 問われて名乗るもおこがましいが、産まれは遠州浜松在、十四の年から親に放れ、身の生業も白浪の沖を越えたる夜働き、盗みはすれど非道はせず、人に情を掛川から金谷をかけて宿々で、義賊と噂高札に廻る配附の盥越し、危ねえその身の境界も最早四十に、人間の定めはわずか五十年、六十余州に隠れのねえ賊徒の首領日本駄右衛門。


  さてその次は江の島の岩本院の児あがり、ふだん着慣れし振袖から髷も島田に由井ヶ浜、打ち込む浪にしっぽりと女に化けた美人局、油断のならぬ小娘も小袋坂に身の破れ、悪い浮名も竜の口土の牢へも二度三度、だんだん越える鳥居数、八幡様の氏子にて鎌倉無宿と肩書も、島に育ってその名さえ、弁天小僧菊之助。


 続いて次に控えしは月の武蔵の江戸そだち、幼児の折から手癖が悪く、抜参りからぐれ出して、旅をかせぎに西国を廻って首尾も吉野山、まぶな仕事も大峰に足をとめたる奈良の京、碁打と言って寺々や豪家へ入り込み、盗んだる金が御嶽の罪科は、蹴抜の塔の二重三重、重なる悪事に高飛びなし、後を隠せし判官の御名前騙りの忠信利平。


 またその次に列なるは、以前は武家の中小姓、故主のために切り取りも、鈍き刃の腰越や砥上ヶ原に身の錆を磨ぎなおしても抜き兼ねる、盗み心の深翠り、柳の都谷七郷、花水橋の切取りから、今牛若と名も高く、忍ぶ姿も人の目に月影ヶ谷神輿ヶ嶽、今日ぞ命の明け方に消ゆる間近き星月夜、その名も赤星十三郎。


 どんじりに控えしは、潮風荒き小ゆるぎの磯馴の松の曲りなり、人となったる浜そだち、仁義の道も白川の夜船へ乗り込む船盗人、波にきらめく稲妻の白刃に脅す人殺し、背負って立たれぬ罪科は、その身に重き虎ヶ石、悪事千里というからはどうで終いは木の空と覚悟は予て鴫立沢、しかし哀れは身に知らぬ念仏嫌えな南郷力丸。


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来年の今月今夜は貫一は何処で此月を見るのだか。再来年の今月今夜・・・十年後の今月今夜・・・。いいか、宮さん、一月の十七日だ。来年の今月今夜になったならば、僕の涙で必ず月は曇らしてみせるから。

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両の瞼をそっと合わせりゃ、会わなかった頃の、おっかさんの姿が浮かんでくらあ。俺のおっかさんは今も俺の心の中に生きている。


★★★★

え、御新造さんぇ、おかみさんぇ、お富さんぇ、 いやさ、これ、お富、久しぶりだなぁ。

 (与話情浮名横櫛)

★★★★

春雨じゃ。濡れてまいろう

 

★★★★

止めて下さるな妙心殿。落ちぶれ果てても平手は武士じゃ 男の散りぎわを知って居ります。行かねばならぬ、行かねばならぬのだ。

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 ハテ珍らしき対面じゃなア(寿曾我対面)
おめず臆せずはじらわず(寿曾我対面)
 時至集とも召されなん(夜討曾我狩場曙)
きせるの雨が降るようだ(助六)
 五丁町は暗闇じゃぞえ(助六)
 判官殿にもなき人を(勧進帳)
こいつ師匠を困らせおるわい(傾城反魂香)
 梶原源太はおれかしらん(恋飛脚大和往来)
 京の六条数珠屋町(恋飛脚大和往来)
 南無三紅が流れた(国性爺合戦)
この汗わいなア(博多小女郎浪枕)
 慈悲もなさけも身どもは知らぬ(平家女護島)
 女房の罰がおそろしい(心中天網島)
 不義になって貸して下され(女殺油地獄)
 紙子ざわりが荒い荒い(廓文章)
わしゃわずらうてな(廓文章)
すわといえば晴の草履(鬼一法眼三略巻)
 死んでも褒美の金がほしい(鬼一法眼三略巻)
おわりなければ初めもない(壇浦兜軍記)
きのう剃ったも今道心(苅萱桑門筑紫轢)
 青江下坂よっく切れます(敵討襤褸錦)
 源太は殺さぬ手ばかり動く(ひらがな盛衰記)
 権四郎頭が高い(ひらがな盛衰記)
いずれも見ても蕾の花(一谷嫩軍記)
つい都までオオ健気(一谷嫩軍記)
 剣も剣切り手も切り手(石切梶原)
 腹にかいながあるからには(源平布引滝)
うちの人の好くのは(夏祭浪花鑑)
 蚤とった(夏祭浪花鑑)
そりゃこそ啼いたわ東天紅(菅原伝授手習鑑)
 話すことあり聞くことあり(菅原伝授手習鑑)
おいらは知らぬ(菅原伝授手習鑑)
せまじきものは宮仕え(菅原伝授手習鑑)
 思い出づるは桜丸(菅原伝授手習鑑)
いかに八大竜王(義経千本桜)
 器用な子じゃなア(義経千本桜)
 腹がへってはできぬもの(義経千本桜)
 酒は飲んでも飲まいでも(仮名手本忠臣蔵)
 待ちかねたわやい(仮名手本忠臣蔵)
 斧とも九太とも(仮名手本忠臣蔵)
 色にふけったばっかりに(仮名手本忠臣蔵)
 祇園町を離れてから急げ(仮名手本忠臣蔵)
 誠から出たみんな嘘(仮名手本忠臣蔵)
 髪の飾りや化粧して(仮名手本忠臣蔵)
 運のいいのと悪いのと(双蝶々曲輪日記)
 連れて手前は逃げ弾正(本朝廿四孝)
 負うた子に教えられ(近江源氏先陣館)
 太宰の家が立ちませぬ(妹背山婦女庭訓)
お留守かえ(妹背山婦女庭訓)
 頭に三里があるかいやい(新版歌祭文)
 落ちつく先は九州相良(伊賀越道中双六)
 幽霊もさぞひだるかろ(摂州合邦辻)
 金は小判というものを(傾城阿波の鳴門)
いまごろは半七さん(艶容女舞衣)
 腹がへってもひもじゅうない(伽羅先代萩)
そこらあたりの虎どのが(伽羅先代萩)
 世話しられても恩に着ぬ(近頃河原の達引)
 妻が知らいで何としよう(絵本太功記)
 紅葉があるのに雪が降る(箱根霊験躄仇討)
 間夫にあうのはひけ過ぎ(碁太平記白石噺)
 犬かと思うたわいの(鏡山旧錦絵)
 絶景かな絶景かな(楼門五三桐)
つづら背負ったがおかしいか(艶姿石川染)
 何にもいうな人ではないわい(五大力恋緘)
これも誰ゆえ桜姫(桜姫)
うれしや日の出(伊勢音頭恋寝刃)
 身不肖なれども福岡貢(伊勢音頭恋寝刃)
しめこのうさうさ(隅田川続俤)
まだあるまだある(敵討天下茶屋聚)
 掛け流しがよいわいなア(お祭佐七)
 首が飛んでも動いてみせるわ(いろは仮名四谷怪談)
 雉もなかずば打たれまいに(鈴ヶ森)
かげ膳すえて待って居りやす(鈴ヶ森)
わるくねえな(花街模様薊色縫)
なるほど世間はむずかしい(三人吉三廓初買)
これが別れの八幡鐘(八幡祭小望賑)
わっちゃアほんの頭数(青砥稿花紅彩画)
 恨みがあるなら金にいえ(勧善懲悪覗機関)
みそかに月の出るさとも(曾我綉侠御所染)
こいつア宗旨を変えざアならねえ(船打込橋間白浪)
お七気どりの吉三さん(吉様参由縁音信)
ここで三合かしこで五合(慶安太平記)
 鰹は半分もらってゆくよ(梅雨小袖昔八丈)
 姉上夜討でござる(忠臣いろは実記)
 布告を知らぬ者と見える(霜夜金十字辻筮)
 星が飛んだのか(天衣紛上野初花)
 天か玉子のぬきで呑むのも(天衣紛上野初花)
 時雨を待たず染めて候(土蜘)
 鬼の金歯のひと粒えり(極附播随長兵衛)
しきみの水でも飲んでおけ(島鵆月白浪)
 好きな酒はたらふく呑み(新皿屋鋪月雨暈)
 秋の習いといいながら(高時)
 船中にて左様なことは(船弁慶)
 二朱より安い按摩はしないよ(盲長屋梅加賀鳶)
 如月の空のさだめなく(戻橋)
 宿に帰るはいやになった(籠釣瓶花街酔醒)
これで多助も男になれやんす(塩原多助一代記)
 二三の水出しやらずの最中(怪異談牡丹燈籠)
 下戸の知らねえ味だなア(神明恵和合取組)
わが名にちなむ庭前の(桐一葉)
みずからが化粧箱も同然(沓手鳥孤城落月)
 北条が何じゃ(修禅寺物語)
 清いおとめと恋をして(鳥辺山心中)
 散る花にも風情があるなア(番町皿屋敷)
しがねえ姿の土俵入(一本刀土俵入)
 江戸の人よさらば(将軍江戸を去る)
 千年も万年も生きたいわ(不如帰)
 覚悟とは読んで字の如し(金色夜叉)
 決してもう他人ではない(滝の白糸)
 春でおぼろで御縁日(日本橋)
 静岡って箱根より(婦系図)
おいらア新内は大嫌いだ(鶴八鶴次郎)
わしの兜の竜がしら(白野弁十郎)
 姓は丹下名は左膳(丹下左膳)
 寄らば切るぞ

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