帷幄上奏 いあくじょうそう
君主制国家において、帷幄機関である軍部が君主に軍事事項を上奏すること。昔の陣営は幕をめぐらしたことから帷幄は作戦を練る場所、本陣や本営、軍部の意味。(1級)
帷幄之臣 いあくのしん
参謀や軍師など、指揮官に付き従って作戦を練る部下のこと。
異域之鬼 いいきのき
他国で死ぬこと。またその遺体が本国に戻らない死者の魂をいう。
以夷制夷 いいせいい
夷を以て夷を制す。自ら手を下さずに他人を利用して利益を図ること。外敵を利用して外敵を制する外交戦略のこと。
唯唯諾諾 いいだくだく
事事の善悪・是非をかまわず、他の意見に盲従すること。人の言いなりになるようす。唯と諾はどちらもYes。 頻出語。
委委佗佗 いいたた
のびやかで美しいさま。
伊尹負鼎 いいんふてい
大きな望みのために、卑しい身分に身を落とすこと。君主に仕えるという大きな望みために、まずは料理人として雇われ、のちに殷の宰相になった伊尹の故事から。(1級)
医鬱排悶 いうつはいもん
気がふさがるのをいやし、気晴らしすること。
易往易行 いおういぎょう
たやすく往生でき楽に修行できる。阿弥陀如来にすがり南無阿弥陀仏を唱えれば、たやすい修行で極楽往生できるという他力本願の浄土宗の教えのこと。
位階勲等 いかい くんとう
位階と勲等。古代では身分標識の一種。位階は国家の制度に基づく個人の序列の標示、勲等は勲功に対して授与されたもの。叙勲は位階に応じて行われた。近代では栄典制度の一種。
位階褫奪 いかいちだつ
官職を取り上げること。褫奪は剥奪に同じ。
移花接木 いかせつぼく
花の枝を接ぎ木する。ひそかに人や物を取り替え、表面をつくろうこと。巧みにすり替える。
衣冠盛事 いかんせいじ
名門の家に生まれて功績をあげ、その家の盛んな名声を引き継ぐこと。また、その者。
遺憾千万 いかんせんばん
残念で仕方ないこと。非常に心残りであること。くちおしくてならない。
衣冠束帯 いかんそくたい
公家の正装。朝廷に出仕するとき、着用する服装。公卿(くぎょう)の正装。
衣冠之会 いかんのかい
衣冠を着けた威儀正しい人々の集まり。襟を左前にする異族の風に対していう。
依願免官 いがんめんかん
本人の願い出によって役をやめさせること。
意気軒昂 いきけんこう
意気込みが盛んな様子。元気や勢力の盛んなさま。
意気昂然 いきこうぜん
意気込みが盛んなようす。
意気自如 いきじじょ
不屈の心。元気が元のままで少しもくじけないさま。あるいは平常心。
意気消沈 いきしょうちん
元気をなくし、しょんぼり沈みこむこと。意気銷沈とも書く。orz(1級)
意気衝天 いきしょうてん
非常に元気なこと。意気込みが天をつくほど盛んなこと。充実して大いに意気のあがる状態。
意気阻喪 いきそそう
元気を失う様子。意気込みがくじける様を言う。意気沮喪とも書く。(1級)
意気投合 いきとうごう
お互いに気持ちが通じ合い、一体感を感ずる。互いの気持ち、考えなどがぴったりと一致して親しくなること。
以杞包瓜 いきほうか
高位の者がへりくだって賢者を求めること。
意気揚揚 いきようよう
気持ちが高揚し、いかにも誇らしげに振る舞う様子。威勢がよく得意そうなさま。
委曲求全 いきょくきゅうぜん
委曲を尽くして全体の調和をはかること。また全体がうまくいくように細かいことは譲歩するたとえ。
異曲同工 いきょくどうこう
見た目は違っているが、手法や技術に大きな差がないこと。また、同じ技巧の音曲でも味わいが異なっていたり、同じ技巧の詩文でも趣が異なっていること。頻出語。
以魚駆蠅 いぎょくよう
魚で蠅を追うとかえってますます蠅が寄ってくることから、物事の処理・解決に間違ったやり方・手段を用いるたとえ。
衣錦還郷 いきんかんきょう
錦を着て故郷へ帰る。故郷に錦を飾る。立身出世して堂々と生まれ故郷へ帰ること。
衣錦尚絅 いきんしょうけい
才能などを表に出さないことのたとえ。奇麗な錦の上に薄い一重ものを着ることから。才能や徳などを誇示することへの戒め。(1級)
衣錦之栄 いきんのえい
成功して故郷に錦を飾る名誉のこと。
郁郁青青 いくいくせいせい
植物が青々と生い茂り、よい香りを漂わせているさま。もと水際に生えたよろい草やふじばかまの様子をいった語。
異口同音 いくどうおん
多くの人が、同じ言葉を口にすること。また、多くの人が一致して同じ意見をいうこと。頻出語。
生日足日 いくひのたるひ
祝典や祭りの当日のこと。生気に満ちている縁起の良い日という意味。
夷険一節 いけんいっせつ
自分の運命が平穏であろうと、また険しく厳しいものであろうと、節操を変えずその職責を全うすること。
韋弦之佩 いげんのはい
自分の性格の悪い点を改めて人格を高めるために、戒めのものを身につけること。中国の戦国時代、西門豹は短気な性格を直そうと「ゆったりとしたなめし皮」を身に着け、春秋時代の董安干は厳格な性格に改めるために「かたい弓のつる」を身につけたという故事から。(1級)
衣香襟影 いこうきんえい
よい香がしみこんだ着物を着込んだ姿。化粧して着飾った女性の形容。
異国情緒 いこくじょうちょ
よその国の雰囲気や、気分。エキゾチシズム。
為虎添翼 いこてんよく
強いものに、さらに勢いをつけること。虎に翼を添えるともう、かなう者はいない。鬼に金棒。
韋袴布被 いこふひ
なめし皮のはかまに布の着物。貧士のようす。
為虎傅翼 いこふよく
もともと強い虎に翼までつける。鬼に金棒。ますます強くなる。(1級)
已己巳己 いこみき
文字の形が似ていることから、双方がよく似ているもののたとえ。
意在言外 いざいげんがい
はっきり言わずに言外ににおわせる。自分の考えを意図的に曖昧にして、相手に推察させること。または、詩文の字間や行間に自分の考えを込めること。
偉才秀才 いさいしゅうさい
特別優れた才能を持つ人。
移山倒海 いざんとうかい
自然を征服しようとするくらい意気込みの盛んなさま。転じて大規模な工事のたとえ。
意識過剰 いしきかじょう
自分に対する周囲の目を、必要以上に気にすること。
意識朦朧 いしきもうろう
意識が不確実なこと。周りの状況がわからないくらい意識がかすんでぼんやりとしているさま。(1級)
意志堅固 いしけんご
物事をなすに当たってのこころざしが、しっかりとしていること。堅い意思で何かを成し遂げようとすること。
意志疎通 いしそつう
お互いの考えがよどみなくよく通じること。
以耳代目 いじだいもく
実際には見ていないのに聞いただけで見たことにする。他人の報告をそのまま信用すること。
意志薄弱 いしはくじゃく
はっきりとした自身の意志を持っておらず、物事を決める決断力や最後までやり抜く忍耐力が欠如していること。または、他人の言葉や行いの影響を受けやすいこと。
意思表示 いしひょうじ
自分の考えや思いを、外部に表明すること。法律用語としては、法律上の効果を発生させるために必要な意思を外部に示す行為のこと。
石部金吉 いしべきんきち
非常に物堅く、融通のきかない人。石と金属は堅いので、性格を表すこれらの文字を人名のように並べたもの。
意趣遺恨 いしゅいこん
何かの手段で晴らさずにはいられないような、忘れ難い恨み。
遺臭万載 いしゅうばんさい
悪名や、よくない評判を後世まで残すこと。
衣繍夜行 いしゅうやこう
立派な錦の着物を着て、夜道を行くこと。暗い夜に錦の着物を着て歩いても、誰にも気づいてもらえないことから、せっかく立身出世したり、成功したりしても、人に知ってもらえないたとえ。また、美点やすばらしさを誰にもわかってもらえず、不満なことのたとえ。楚の項羽が「富貴になっても故郷に帰らないのは、美しい服を着て暗い夜道を歩くようなものだ」と言った故事から。
畏縮逡巡 いしゅくしゅんじゅん
おそれちぢこまって、しりごみすること。
萎縮震慄 いしゅくしんりつ
生気を失い、恐怖で身をすくめていること。
渭樹江雲 いじゅこううん
遠くにいる友人を気遣うこと。渭水の北の地にいる杜甫が、長江にいる李白を思って詩を作ったことから。(1級)
意趣卓逸 いしゅたくいつ
考え方がすぐれていること。
意匠惨憺 いしょうさんたん物事に工夫を凝らすために、いろいろな苦労をすること。(1級)
衣装道楽 いしょうどうらく
きれいな衣装を好んで着たり、たくさんもつことを好んだりすること。また、その人。着(き)道楽。
衣装之会 いしょうのかい
諸侯の平和的会合をいう。
衣装之治 いしょうのち
しいて法を定めることをせず、徳によって人民を自然に教化すること。
以升量石 いしょうりょうこく
升を以て石を量る。小人の狭い心では大人物・賢人の大きな心を量り知ることは無理だ、ということ。
医食同源 いしょくどうげん
日常の食生活に気を配ることが、一番の病気予防になるということ。病気を治すために飲む薬と日常の食事は、どちらも健康を維持するため口にするものであり、根本は同じであるということから。
衣食礼節 いしょくれいせつ
衣食足りて礼節を知る。生活が豊かになれば、道徳心が高まって礼儀を知るようになる。生活が安定することで、初めて礼儀や節度をも気遣うようになる意。
威信失墜 いしんしっつい
威信とは信用信頼のこと。権威や信用ががた落ちになること。
以身殉利 いしんじゅんり
つまらない人間は、自分の利益や欲望のためだけに一生を費やすということ。
遺簪墜屨 いしんついく (くは環境依存文字で尸に髏の骨をぎょうにんべんに換えたもの。)
日頃使い慣れたものに愛着を持つたとえ。 無くしたかんざしと、落とした靴。 愛用品をなくした悲しみ。(1級)
以心伝心 いしんでんしん
心を以って心に伝う。仏教用語で、言葉や文字で表現することが難しい仏法の真髄を師から弟子の心に伝えること。主に禅宗で用いる。転じて、言葉や文字を使わなくても、心と心で互いの意志や気持ちが通じ合うこと。頻出語。
衣薪之鬼 いしんのき
死者をいう。
渭水尽赤 いすいじんせき
罪人を処罰することのたとえ。渭水は黄河の支流。昔、秦の都咸陽の高鞅が多くの罪人を処罰したので、渭水が血で赤くそまったといわれる故事から。
怡然自得 いぜんじとく
心が落ち着いていて、満ち足りていること。または、自分の心を理解し、喜び安らぐこと。
渭川漁父 いせんのぎょほ
古代中国で太公望と呼ばれ、活躍した呂尚のこと。転じて、優れた能力をもつ人物のたとえ。渭水で釣りをしていた呂尚は、周の文王に見出されて、後に大きな功績を残したという故事から。
意先筆後 いせんひつご
書を作るに当たっては、まずその作品についての意図・構想を明確にさせてから書きはじめるべきであること。
衣帯中賛 いたいちゅうのさん
仁義や忠節を守り通すこと。南宋の忠臣の文天祥は、宋が滅びた後は元に捕らえられ何度も元に仕えるようにとクビライから勧誘されたが、忠節を守るために断って刑死した。処刑される際に衣帯の中に賛が書き置かれていたという故事。正気の歌。
異体同心 いたいどうしん
身体は異なっていても、心がお互いに一致していること。
衣帯不解 いたいふかい
あることに非常に専念すること。衣服を着替えることもせず、不眠不休で仕事に熱中すること。
韋駄天走 いだてんばしり
非常に足の速い人。また、速く走るさま。「韋駄天」は僧や寺院の守護神で、足の速いたとえに用いられる。(1級)
異端邪宗 いたんじゃしゅう
正統でない異なる教え。異端は多くの人には認められず、少数の人によって信じられている主張や学説、宗教。邪宗は人心を惑わし社会を毒する宗教。江戸時代のキリスト教など。邪教と同じく他宗教を非難するときや、国家権力や統治者等が特定の宗教への弾圧目的でも使用する用語。
異端邪説 いたんじゃせつ
正統でないよこしまな教え、思想、学説。聖人が行なうべきでない正しくない教え。「異端」は多くの人には認められず、少数の人によって信じられている主張や学説、宗教。「邪説」は道理に外れた主張や学説。
一意攻苦 いちいこうく
心を打ち込んで、苦しみながら考えること。
一意専心 いちいせんしん
他に心を向けず、ひたすらひとつのことに心を集中すること。わき見をせずその事のみに心を用いること。一意搏心とも書く。
一衣帯水 いちいたいすい
一本の帯のような狭い川や海のこと。また、そのような海や川が間にあって遮られているが、非常に距離が近いこと。 または、互いの関係が非常に深いこと。 陳の君主の悪政によって庶民が飢えと寒さで窮地に陥ったときに、隣国の隋の文帝が「たった一本の帯のような川(長江)に隔てられているからといって、民を見捨てることができるか」といって、陳の国を討伐したという故事から。頻出語。
一意直到 いちいちょくとう
思ったこと、考えたことを偽らずに、そのまま表すことをいう。
一意奮闘 いちいふんとう
心を一つのことに集中し、奮い立って戦うこと。また、力いっぱい努力すること。
一印一明 いちいんいちみょう
真言密教で一つの印を結び一つの明呪(真言}を唱えること。
一飲一啄 いちいんいったく
自然とともに、自由に生きることのたとえ。また、人が分に安んじて多くを求めないことのたとえ。鳥がくちばしで少しずつついばむようにの意。
一韻到底 いちいんとうてい
漢詩における古詩の技巧で、初めから終わりまで一つの韻で通すこと。
一栄一辱 いちえいいちじょく
人は社会の状況などによって、栄えることもあれば、恥辱にまみれることもあること。栄えているときは戒めとして、衰えているときは慰めの語として用いる。また、人の世のはかなさをいう。
一栄一落 いちえいいちらく
春には花が咲き、秋には葉が落ちるところから、人が栄えたり衰えたりすること。
一詠一觴 いちえいいっしょう
一杯の酒を飲み、一つの詩を歌う風流な楽しみのこと。
一円一帯 いちえんいったい
そのあたり一面。
一往一来 いちおういちらい
行ったり来たりすること。行き来すること。
一月三舟 いちがつさんしゅう・いちげつさんしゅう
止まっている舟から見る月は動かず、南へ行く舟から見る月は南に動き、北へ行く舟から見る月は北へ動くように見えるということ。仏道は一つであるのに、衆生しゅじょうの受け止め方で、種々の意味に解釈されるたとえ。同じものを見ても受け取り方は人それぞれ。
一丘一壑 いちきゅういちがく
身を俗世間から離れた自然の中において風流を楽しむこと。あるいは丘に登りあるいは壑(谷)において釣り糸をたれ、世俗に煩わされず自らの心を楽しくする意から。
一牛鳴地 いちぎゅうめいち
一頭の牛の鳴き声が聞こえるほどの近い距離。一牛吼地(いちぎゅうこうち)。また、のどかな田舎・田園風景のこと。
一行三昧 いちぎょうざんまい
一つの修行法にひたすらに励むこと。また、念仏を唱えること。
一行知識 いちぎょうちしき
わずかな字数で簡略に説明した知識のこと。
一薫一蕕 いちくんいちゆう
善は消え易く悪は除きがたいこと。薫は香草・蘭の類、根を焼いて香をたて身におび悪気を払った。蕕は「かりがねそう」秋、青紫の花をつけるが悪臭がある。転じて悪人などを言う。
一芸一能 いちげいいちのう
一つの技芸・才能。
一言一行 いちげんいっこう
一つの言葉と一つの行いのこと。何気ない言動のこと。
一言九鼎 いちげんきゅうてい
国を左右するほど重みのある貴重な一言。
一言居士 いちげんこじ
何にでも一言いわないと気のすまない人のこと。たとえ他人に言い尽くされ、何も付け加える内容が無くても、とにかくひとこと意見を言いたがる人。頻出語。
一言隻句 いちげんせきく・いちごんせきく
ほんの短いことば。ちょっとしたことば。
一言半句 いちげんはんく・いちごんはんく
ほんの少しの言葉。ちょっとした言葉。ほんのひとこと。言葉にならない声まで。
一元描写 いちげんびょうしゃ
小説の登場人物の動向や心理状態、事件の描写を、主人公一人の視点から一元的に表現すべきであるという小説作法。
一期一会 いちごいちえ
一生に一度の出会いのこと。また、そのことが生涯に一度限りであることを表し、人との出会いなどの機会を大切にすることのたとえ。もとは千利休の弟子の山上宗二が説いた茶人の心構え。たとえ同じ人、同じ場所で茶会を開いたとしても、同じものになることはなく、毎回生涯で一度だけのものなので、主人も客も誠意を尽くすべきであるというもの。頻出語。
一五一十 いちごいちじゅう
事の始めから終わりまで。最初から最後まで全部もれなく、すべて。一伍一汁とも書く。
一闔一闢 いちこういちびゃく
陰の気と陽の気が衰えたり盛んになったりするさま。
一合一離 いちごういちり
人と関係を結んだり離れたりすること。一離一合。
一言一句 いちごんいっく
一つ一つの言葉。ちょっとした言葉。
一言芳恩 いちごんほうおん
ひと言声をかけてもらったことに対して感謝すること。またそれを恩に感じ、その人を主人と仰ぐこと。
一治一乱 いちじいちらん
ある時は乱れ、ある時は治まる、戦国時代の様相をいう。
一字一句 いちじいっく
一つの文字と一つの語句。わずかな字句。
一字一点 いちじいってん
字一つ、点一つ。極めて少しのことのたとえ。
一字三礼 いちじさんらい
敬虔けいけんな態度で写経すること。また、そのような態度で写経せよという教え。
一字千金 いちじせんきん
価値の高い文章。筆跡や詩文がすぐれていることのたとえ。一字に千金の価値があること。秦の呂不韋が『呂氏春秋』を完成させたときに、都の門の前に並べて、一文字でも添削できれば千金を与えようと言って、出来映えを誇ったという故事から。
一日九遷 いちじつきゅうせん
主君の寵愛を受けている様。 一日に九度も官位を昇ることから。
一日三秋 いちじつさんしゅう
一日会わないだけで三年も会わない気がする。待ち遠しく思う気持ち。相手を思慕する情が深いこと。
一日千秋 いちじつせんしゅう
一日会わないだけで千年も会わない気がする。待ち遠しく思う気持ち。時、人、物などが来るのを今か今かと楽しみに待つこと。頻出語。
一日之長 いちじつのちょう
年齢が少しだけ多い。経験が少しだけ長い。その分、技能や経験・知識などがいくらか勝っていること。
一日片時 いちじつへんじ
わずかな時間のこと。また、たった一日のこと。
一日万機 いちじつばんき
一日の中でもいろいろなことが起きる意。天子を一日も怠ることのない様に戒めたもの。また一日の多くの政務をいう。
一字之師 いちじのし
詩や文章の中の適切でない一字を改め直してくれる人。
一事万事 いちじばんじ
いちじがばんじ。一事を見れば、他のすべての事を推察できること。
一字不説 いちじふせつ
仏教で、仏の悟りの内容は奥深く、言葉で言い表すことはできないということ。
一字褒貶 いちじほうへん
文章を書く際の一字の使い分けで、人を褒めたりけなしたりすること。歴史書"春秋"の表現様式のことをいう。(1級)
一汁一菜 いちじゅういっさい
ひと碗の吸い物と一品のおかず。質素な食事をいう。現代では、日本の伝統を基にした健康的な食事という良い意味で使われることもある。
一入再入 いちじゅうさいじゅう
布を何度も染め重ねること。 深く、濃い色合いから転じて、恩が深いことのたとえ。
一樹之影 いちじゅのかげ
この世の人との出会いや関係は全て、前世の縁によるものということ。見知らぬ人同士が、一本の木に寄り雨宿りをするのも、前世からの縁であるということから。
一樹百穫 いちじゅひゃっかく
人材を育成することは、大きな利益につながるということ。また、大計を成功させるには人材の育成が必要であるということ。
一上一下 いちじょういちげ
あるいは上り、あるいは下ること。上げたり、下げたりすること。転じて、その場に応じて適切に処理するたとえ。
一杖一鉢 いちじょういっぱつ 僧侶の極めて質素な身なりを形容する語。「一杖」は一本の杖「一鉢」は托鉢用の鉢をいう。一杖一鉢の行脚などと表現する。
一場春夢 いちじょうのしゅんむ
人生のはかないことのたとえ。春の夜にみる夢のようにはかないこと。
一時流行 いちじりゅうこう
その時々の世の中の好みに応じた一時的な新しさのこと。もとは俳諧のことばで、常に新しさを求めて、変化を重ねていくこと。
一新紀元 いちしんきげん
新しい時代の始まり。古いことが終わりを告げ、新たな時代が始まる最初の年。
一塵不染 いちじんふせん
少しの塵にも染まらないで、きわめてきれいなことから、物欲に染まることのない清廉潔白な人柄のたとえ。
一塵法界 いちじんほっかい
一つのちりの中にも、全宇宙の真理が含まれているということ。真理はどんなものからでも見出すことができるということ。
一族郎党 いちぞくろうとう
血縁のある同族と家来たち。家族や関係者の全員。
一代一度 いちだいいちど
天皇の一代に一度だけおこなわれること、またその行事。
一大決心 いちだいけっしん
生涯に一度しかないような大きな決意のこと。
一諾千金 いちだくせんきん
一度承諾したことは、千金にもかえがたいものであり、決して裏切らないよう、必ず守らなければならないというたとえ。楚の季布は、一度承知して引き受けたことは違えることなく確実に果たしたため、季布に約束を引き受けてもらうことは千金を得るよりも価値があると言われていたという故事から。
一団和気 いちだんのわき
なごやかな雰囲気のこと。親密さがあふれており、親しみやすいようすのこと。
一読三嘆 いちどくさんたん
すばらしい詩文などを読んで、非常に感銘を受けること。また、そのような詩文や本のたとえ。一度読んで幾度も感嘆する意から。
一日一善 いちにちいちぜん
一日に一つは必ず善いことをすること。
一日千里 いちにちせんり
すぐれた馬が一日に千里も走ることから、転じて才能が優れていることのたとえ。
一日不食 いちにちふしょく
一日作さざれば一日食らわずの略。働かなければ食事をしない、働くことを大切にする心得。唐のある禅師は、老齢にして毎日人一倍労務を行っていた。みかねた弟子たちが農具を隠し、師に休息をとるよう願った。禅師は農具を探したが見つからず休息をとったが、その日は食事をとらず、弟子たちに理由を尋ねられたそきの返事から。
一人当千 いちにんとうせん
非常に大きな力、勇気があること。またはそのような人。一人が千人にも匹敵する力をもつ意。
一念三千 いちねんさんぜん
日常における一瞬の思いの中にも、全宇宙の全事象が備わっているということ。天台宗の教義。
一念通天 いちねんつうてん
どんなことでも、一心に念じ努力し続ければ、必ず成就するということ。
一念発起 いちねんほっき
仏門に入り、悟りを開こうと固く決心すること。転じて、あることを成し遂げようと強く決心すること。
一念発心 いちねんほっしん
深く思いつめて仏門に入ること。
一暴十寒 いちばくじっかん
努力よりも怠る方が多ければ、せっかくの努力が何の役にも立たないことのたとえ。日に曝して暖めようとして、一日は暖めて十日間日陰においたまま冷やすという意味。
一罰百戒 いちばつひゃっかい
罪を犯した者を一人罰して、それを多くの人の戒めとすること。一人に罰を与えて他の人が同じ罪を犯さないように注意を発すること。
一病息災 いちびょうそくさい
一つくらい病気のある人の方が、体を大切にしてかえって長生きすること。
一分一厘 いちぶいちりん
ごくわずかなこと。
一分五厘 いちぶごりん
江戸時代に一分五厘あれば一日暮すことができた事から転じて物事を軽く見て言うこと。 この世のことはそれほど値打ちのあるものではないの意。
一部始終 いちぶしじゅう
ある事の初めから終わりまで、こまごましたことまで全部のこと。
一別以来 いちべついらい
この前会った時以来という意味。久しく会っていない人との挨拶に用いることば。
一望千頃 いちぼうせんけい
一目で遠くまで見渡すことができること。また、広々としていて遠くまで見渡せる美しい景色のたとえ。
一望千里 いちぼうせんり
一目でかなたまで広々と見渡されること。見晴らしのよいたとえ。また、広々として見渡される美しい景色のたとえ。
一望無垠 いちぼうむぎん
一望はては無し。一目ではるかかなたまで広々と見渡せること。 広々と見晴らしの良い景色のこと。
一木一草 いちぼくいっそう
そこにあるものすべて。一本の木や、草にいたるまですべて、何もかものこと。
一枚看板 いちまいかんばん
ただそれだけで他に代わりのないもの。一座の花形役者。また、大勢の中の中心人物。転じて、人に見せられる、ただ一つのもの。取り柄。また一張羅の意味にも用いる。
市松模様 いちまつもよう
黒と白との四角形を互い違いに並べた模様。
一水二肥 いちみずにこえ
米作りの秘訣のこと 第一に水加減 第二に肥料のやり方が大切だということ。
一味爽涼 いちみそうりょう
ひたすらすがすがしいこと。
一味同心 いちみどうしん
同じ目的をもって集まり、心を一つにすること。また、その仲間。
一味徒党 いちみととう
同じ目的をもって結ばれた仲間。多く、悪事に加わることをいう。
一味郎党 いちみろうとう
同じ志や目的のために集まること。また、その仲間、同志のこと。
一面之辞 いちめんのじ
議論において、双方の言い分を平等に聞かず、一方の言い分、主張のみを聞くこと。
一網打尽 いちもうだじん
網を一回打っただけで魚を捕り尽くすこと。罪人・徒党を一時に全部捕らえるたとえ。頻出語。
一毛不抜 いちもうふばつ
非常に物惜しみすること。利己的な人、けちな人。自分のものは毛一本抜かないことから。
一目十行 いちもくじゅうぎょう
書物などを速く読む力がすぐれていることのたとえ。一目見ただけで、すぐに十行分を読むことができる意。梁の簡文帝は幼少期より理解力が人並み以上であり、読書の際には一度に十行ずつ読んだという故事より。
一目瞭然 いちもくりょうぜん
ただひと目見ただけで、はっきりよくわかる。わかりきっていること。一目了然 とも書く。頻出語。
一問一答 いちもんいっとう
一人が質問し、相手がそれを答えるという形を繰り返すこと。Q&A。
一文半銭 いちもんはんせん
ごくわずかな金銭。一文銭の直径が一寸(ひとき)であることから、半銭を"きなか"とも読む。
一文不通 いちもんふつう
無学で文字を知らないこと。読み書きができないこと。
一夜検校 いちやけんぎょう
急に金持ちになることのたとえ。検校は江戸時代、盲人に与えられた最高の官名。大金を官に上納し、検校の位を受けたもののことをこうよんだことから。
一夜十起 いちやじっき
人は多かれ少なかれ私心や私情に左右され、私心を全て捨てさることは難しいということ。
一遊一予 いちゆういちよ
遊び楽しむこと。王が楽しみを兼ねて民の生活を視察していたことから。
意中之人 いちゅうのひと
心の中でひそかに思いを寄せている相手。恋愛対象や、仕事などの適任者の候補として挙げている人をさすときに用いる。
一葉知秋 いちようちしゅう
一葉落ちて天下の秋を知る。一枚の葉が落ちるのを見て、秋の近いことに気付くことから。わずかな前兆や現象から、物事の本質や衰亡を察すること。
一陽来復 いちようらいふく
よくないことが続いた後に、よいことがめぐってくること。苦尽甘来。または、冬が終わって春が来ること。または、冬至のこと。易経で、陰と陽の組合せからなる六十四卦で、陰暦十月は陰だけで構成され、陽が復する(戻ってくる)のは冬至からであることから。頻出語。
一利一害 いちりいちがい
利益がある一方で害もあること。 良い点と悪い点の両方があること。また、新たな利益を求めるよりも、今みられる害悪を取り除く方がよいということ。
一里一銭 いちりいっせん
戦国時代の伝馬の一里分の賃銭。後北条氏等の基準であり六町一里を単位としている。
一竜一猪 いちりゅういっちょ・いちりょういっちょ
努力して学ぶものと、怠けて学ばないものとの間には大きな賢愚の差ができるということ。一方は竜一方は豚。
一粒万倍 いちりゅうまんばい
ひと粒の種から一万倍もの収穫があること。ほんの少しのものから大きな利益をあげることのたとえ。または、小さなものでも粗末に扱ってはいけないという戒め。または、稲の別名。元は仏教の言葉で、一つの善い行いをすればたくさんのよい結果がもたらされることのたとえ。
一了百了 いちりょうひゃくりょう
一つが解決すれば、すべてのことが解決すること。根本の一つから、全体を推測できること。
一縷千鈞 いちるせんきん
非常に危険なこと。一本の糸で千鈞もの重さの物をつるすことから。(1級)
一列一体 いちれついったい
同じ群れ、同じ仲間。また、全てが平等であることにいう。
一蓮托生 いちれんたくしょう
仲間の者たちが、否応なくその行動や運命を共にすること。もとは極楽浄土に往生して同じ蓮の花の上に生まれ変わるという意味の仏教語。一蓮託生とも書く。頻出語。
一労永逸 いちろうえいいつ
一度苦労すれば、その後長くその恩恵を被り、安楽な生活を送ることができること。また、ほんの少しの苦労で、多くの安楽が得られること。
一六銀行 いちろくぎんこう
質屋のこと。
一六勝負 いちろくしょうぶ
ばくちのこと。また、運を天に任せて行う冒険的な勝負。
一路順風 いちろじゅんぷう
道中、順風に乗って無事に進むこと。物事がすべて自分の都合の良い方向に進むこと。旅立つ人の安全を祈ることば。
一路平安 いちろへいあん
旅人に旅の平安無事を祈って言う語。
一攫千金 いっかくせんきん
一度にたくさんの利益を得ること。苦労することなく、一度の機会で大金を手に入れること。現在では一獲千金とも書くが、千金は狩るのではなく掴むのだから、獲では意味が通らない、本来は間違い。(1級)頻出語。
一家眷族 いっかけんぞく
家族と血縁者。一族。また、一族とその従者や部下。(1級)
一家四散 いっかしさん
家族が四方にちらばり、ばらばらになること。
一家相伝 いっかそうでん
一つの家系でのみ、代々引き継いでいく技術やもののこと。
一家団欒 いっかだんらん
家族全員が集まり、仲良く語り合って時を過ごすこと。(1級)
一割之利 いっかつのり
凡人でも、たまには役に立つこと。鉛でできた切れ味の悪い刀でも、一度はものを断ち切ることができることから。
一竿風月 いっかん(の)ふうげつ
俗世にとらわれない自然の中で悠々自適な生活を送ること。
一喜一憂 いっきいちゆう
状況が変わるたびに喜んだり心配したりすること。または、周りの状況に振り回されること。
一貴一賤 いっきいっせん
貧しくなったり、豊かになったりすること。また、貧しいときと豊かなときで人の扱いが変わるということ。
一気呵成 いっきかせい
途中で休むことなく一気に文章を書き上げること。または、物事を休まずひといきに成し遂げてしまうこと。。(1級)
一饋十起 いっきじっき
一回の食事の間に、十度も席を立ち上がる意。熱心に賢者を求め迎えるたとえ。(1級)
一騎当千 いっきとうせん
一人で千人の敵と戦うことが出来ること。並外れた能力を持つ勇敢な人のこと。または、ずば抜けた能力や経験を持つ人のこと。頻出語。
一簣之功 いっきのこう
仕事を完遂する間際の、最後のひと踏ん張りのこと。また、仕事をを完成させるために積み重ねる一つ一つの努力と、その大切さのこと。高い山を築くのにもっこ一杯の土が完成か未完かの差となる。(1級)
一客一亭 いっきゃくいってい
ふつうは複数の客を招いて行うが、ただ一人だけをよんで催す茶事のことをいう。
一丘一壑 いっきゅういちがく
あるときは丘、あるときは谷。俗世から離れ、自然の中に身をおき、風流をたのしむこと。(1級)
一裘一葛 いっきゅういっかつ
きわめて貧しい暮らしのたとえ。裘は冬に着るかわごろも。葛は夏に着るくずかたびら。それぞれを一枚ずつしか持たず、ほかの着替えをもたないことから。(1級)
一球入魂 いっきゅうにゅうこん
野球で、精神を集中して一球一球を投げること。
一丘之狢 いっきゅうのかく・いっきゅうのむじな
同じ丘にすむむじな。同類の悪党。同じあなのむじな。(1級)
一虚一盈 いっきょいちえい
一定の形を保つことなく、消えたり満ちたり常に変化して予測しがたいことのたとえ。
一虚一実 いっきょいちじつ
さまざまに変化して、予測が難しいことのたとえ。
一挙一動 いっきょいちどう
一つ一つの動作や行動。ちょっとした日常の動作、立ち居振る舞いのこと。一挙手一投足。
一極集中 いっきょくしゅうちゅう
中心となるただ一つの地域・集団に政治・経済・文化等の諸機能が集まること。
一挙三反 いっきょさんはん
頭の回転が速いこと。ある一つのものを取り上げて教えれば、それによって他の多くの事を類推して理解するように、積極的に自分で考え求めること。孔子が、教える価値がある人について、「四すみのうち、一つのすみを示せば(一挙)、あとの三つを答える(三反)ような人には、繰り返して教えてもよい」と言った故事から。学ぼうとする意欲が旺盛なたとえにもいう。
一挙両失 いっきょりょうしつ
何か一つの事をおこすことで、それとともに他の事でも一時に損害を受けること。一つの行動で、他の事までもだめになること。
一挙両得 いっきょりょうとく
一つの動作や行動によって二つの利益を得ること。一度にふたつの目的がかなうこと。
一琴一鶴 いっきんいっかく
清廉潔白な役人のこと。旅支度がとても簡易であることのたとえ。一張りの琴と一羽の鶴の意。宋の役人が蜀に赴任する際、わずかに一張りの琴と一羽の鶴だけを携えてでていったことから。
一句一章 いっくいっしょう
俳句の形式。対象を一気に詠み句の途中に切れを入れない形。一物だけを用い、一つのものだけに焦点を当てて詩情を盛り込む。
一句一直 いっくいっちょく
連歌・俳諧興業における俳席の掟の一つ。付合を出して指合があった場合、一度だけ句を直すことは出来るが再案句にも指合があったときはその句を捨てて他人に付句を譲らなくてはならないこと。付句は前句に対して付ける句。
一薫一蕕 いっくんいちゆう
悪が善を駆逐すること。善は消えやすく、悪は除きがたくはびこりやすことのたとえ。「薫」は香りのよい草のこと。 「蕕」は臭い草のこと。二つを同じところにおけば、よい香りが消されてしまうことから。(1級)
一蹶不振 いっけつふしん
一度の失敗で挫折してしまい、二度と立ち上がれなくなること。(1級)
一間一花 いっけんいっか
神社仏閣等の格天井、組入天井等の板に花模様を描くとき一間(ひとま)に一個の花を入れることをいう。四象眼で一つの花が完成するものを「四間一花」とも言う。
一件落着 いっけんらくちゃく
問題となっていた物事や事件が解決し、決着がつくこと。
一闔一闢 いっこういちびゃく
陰の気と陽の気が衰えたり盛んになったりするさま。(1級)
一高一低 いっこういってい
高くなったり低くなったりすること。
一口両舌 いっこうりょうぜつ
二枚舌。前に話した内容と、後で話した内容とが食い違っていること。 以前に言ったことと違うことを、平気で言う人のこと。
一国一城 いっこくいちじょう
一つの国と一つの城のこと。または、それらを所有していること。または、他からの干渉を受けずに独立している状態にあること。会社や家族を国や城に例えて、それらの長という意味で「一国一城の主」という形で用いることが多い言葉。
一国三公 いっこくさんこう
一つの国に三人の主権者がいること。まとまっていないこと。
一刻千金 いっこくせんきん
ほんのわずかな時間が千金にも値するということ。楽しい時間や季節などがあっという間に過ぎ去っていくことを惜しんでいう言葉。また、少しの時間でも大切にするべきだという戒め。出典は「春宵一刻値千金」という言葉で、春の夜は素晴らしく非常に価値があるという意味。頻出語。
一刻千秋 いっこくせんしゅう
とても待ち遠しいこと。わずかな時間なのに、千年にも思えるほど待ち遠しいということ。
一顧傾城 いっこけいせい
絶世の美女のこと。美女が一度ちらりとみるだけで町中の男たちが夢中になり、君主までもがそれに溺れ政治を投げ出してしまうことから。
一壺千金 いっこせんきん
価値がないと思えるものでも、時と場合によっては非常に役に立つこと。普段は価値のないひょうたんも、溺れそうになったときには浮き袋代わりとなり、きわめて大きな価値となることから。
一狐之腋 いっこのえき
貴重なもの、大変価値のあるもののたとえ。狐の脇の下からとれる毛皮は、白くて美しいがわずかにしかとれないため、大変珍重されたことから。(1級)
一呼百諾 いっこひゃくだく
人望や権威が強く、一声かければ応じる人の多いたとえ。
一切有情 いっさいうじょう
この世に生きとし生けるものすべてのこと。特に、人間のこと。
一切皆苦 いっさいかいく
仏教における四法印の一つ。全てのものは苦であるということ。
一切合切 いっさいがっさい
なにもかも、すべて。全部、残らず。一切合財とも書く。
一切衆生 いっさいしゅじょう
この世に生きとし生けるものすべてのこと。特に、人間のこと。
一切即一 いっさいそくいち
全体は個の中にあり、また個一つ一つに全体があること。個と全体は相即しているという考え方。また、このように考えれば人生や世界を正しく把握できるという教え。
一妻多夫 いっさいたふ
一人の妻に、二人以上の夫がいること。
一殺多生 いっさつたしょう
多くの人を生かすために一人を殺すこと。一人を殺す代わりに、多くの人を助けること。
一糸一毫 いっしいちごう
きわめてわずかであるたとえ。(1級)
一弛一張 いっしいっちょう
人に厳しくしたり、やさしく接したりすること。弦を張ったり弛めたりすることから。
一士諤諤 いっしがくがく
他のものがおもねる中で、ただ一人だけ怖れはばかることなく直言すること。(1級)
一死七生 いっししちしょう
天上界で一度死ぬと、人間界で七たび生まれ変わるということ。転じて、何度も生まれ変わること。この世に生まれ変わる限りどこまでもということ。また、あくまでも、どこまでもの意。
一子相伝 いっしそうでん
学術・技芸などの奥義を、代々自分の子供の一人または弟子の一人だけに伝えて他には教えず、秘密に受け継いでいくこと。
一枝巣林 いっしそうりん
分相応の暮らしに満足すること。鳥が林に巣を作っても、自分たちが使うのは一本の枝だけということから。
一失一得 いっしついっとく
一方は良いが、もう一方は良くないこと。
逸失利益 いっしつりえき
ある出来事がなければ、手に入れていたはずの収入や利益。
一視同仁 いっしどうじん
誰にも差別をせず、全ての人を平等に見て同じように思いやりをもって待遇すること。頻出語。
一資半級 いっしはんきゅう
少しばかりの官位。
一紙半銭 いっしはんせん
一枚の紙と金額の半銭。わずかなもののたとえ。
一死報国 いっしほうこく
命をかけて国の恩に報いること。
一尺三寸 いっしゃくさんずん
懐剣の異名。
一尺八寸 いっしゃくはっすん
揚代が十八匁だったことから、かこい女郎の異称。笠の寸法に因んで笠雲のこと。寸法から鎌柄の異称。
一瀉千里 いっしゃせんり
文章や言葉が、止まることなくすらすらと出てくることのたとえ。または、物事が順調にどんどん進むこと。水が勢いよく流れ始めると、あっという間に千里も流れ下るという意味から。(1級)頻出語。
一種一瓶 いっしゅいっぺい
簡単な宴会のこと。 各々が一種類の肴と一瓶の酒を持ち寄っておこなうことから。
一宿一飯 いっしゅくいっぱん
ちょっとした世話になること。一泊させてもらい一回の食事をご馳走になる程度の恩義でも、決して忘れてはならないという戒めの言葉として用いられる。昔の博徒は、少しでも他人の世話になったならば、それを一生の恩義としていたことからきた言葉。
一觴一詠 いっしょういちえい
一杯の酒を飲みながら、一つの詩を歌うこと。酒を飲みながら詩を読む、風流な楽しみのこと。(1級)
一笑一顰 いっしょういっぴん
顔をしかめたり笑ったりすること。(1級)
一生懸命 いっしょうけんめい
全力で物事に取り組む様子。命がけで物事に取り組む様子。「一所懸命」が変化した言葉。頻出語。
一倡三歎 いっしょうさんたん
優れた詩文を褒め称えていうことば。一度読み上げる間に何度も感歎することから。「一倡」は「一唱」、「三歎」は「三嘆」ともかく。(1級)
一笑千金 いっしょうせんきん
美人のこと。一度の微笑みが千金にも値することから。
一将万骨 いっしょうばんこつ
一将功成りて万骨枯る、の略。功名や手柄は上にたつものに帰するが、その陰には多くの部下の犠牲があるということ。また、それを忘れてはいけないという戒め。
一生不犯 いっしょうふぼん
仏教での僧侶の戒律で、一生涯にわたって戒めを守り、男女の交わりをしないこと。
一触即発 いっしょくそくはつ
非常に緊迫した状態のこと。ちょっと触れただけでもすぐに爆発するような状況。わずかなことで大変なことが起きるかもしれない危険な状態をいう言葉。
一所懸命 いっしょけんめい
命がけで物事に取り組む様子。全力で物事に取り組む様子。中世の日本で、幕府から賜った一か所の領地を命がけで守ることをいった言葉。
一所不在 いっしょふざい
一か所に長くとどまらず、居所を定めずに旅をすること。行脚僧などの境遇。
一心一意 いっしんいちい
心を一つにして一途に思うこと、また心を集中して励むこと。
一心一向 いっしんいっこう
心を一方にのみ向けて、他のことに心を奪われないこと。
一進一退 いっしんいったい
進んだり退いたりすること。または、物事の状況が良くなったり、悪くなったりすること。頻出語。
一心一徳 いっしんいっとく
君主と臣下が同じ目的や道義のために心を合わせ団結し、ことにあたること。ここでの一徳は道義。
一身軽舟 いっしんけいしゅう
事態がよくなったり悪くなったりする状態のこと。浮き沈みが大きいこと。
一心精進 いっしんしょうじん
心を一つのことに集中して励むこと。
一心同体 いっしんどうたい
複数の人が心を一つにして、まるで一人の人であるかのように固く結びつくこと。夫婦の愛情や友人との信頼などのことをいう言葉。
一心不乱 いっしんふらん
心をひとつに集中し、他の事のために心を乱されない。わき目もふらない。
一真法界 いっしんほっかい
絶対無差別の宇宙の真実の姿。仏教の言葉。
一心発起 いっしんほっき
何かを成し遂げる決意を固めること。
一心万宝 いっしんまんぽう
一心さえ持っていれば何事でも成し遂げられる。
一水盈盈 いっすいえいえい
愛する人に、言葉をかけることが出来ない苦しい思いのこと。牽牛と織女の七夕伝説を題材に、一筋の天の河があることで、見つめるだけで会話することが出来ない切なさをうたった詩。
一水牽愁 いっすいけんしゅう
一筋の川が愁いを漂わせて流れゆく秋の情感をいう。
一水四見 いっすいしけん
同じ水でも見るものが違えば、いろいろな解釈が出来るということ。一月三舟。人間にとっての河(=水)は、天人にとっては歩くことができる水晶の床、魚にとっては己の住みか、餓鬼にとっては炎の燃え上がる膿の流れ。
一酔千日 いっすいせんにち
ものすごくおいしい酒のこと。一杯飲むだけで心地よく酔い、そのまま千日眠り続けるという意味。酒好きの劉玄石という人が、酒屋で千日酒という酒を買い、酔って眠ると家族に死んだと思われて葬られてしまった。飲酒の限度を言い忘れた酒屋の店主が、千日後を狙って劉玄石を尋ねたところ、既に埋められていた。 店主が慌てて墓を暴くと劉玄石が、ちょうど目を覚ましたところだったという故事から。
一炊之夢 いっすいのゆめ
人の世界での繁栄は儚いということのたとえ。または、人の人生が儚いことのたとえ。 唐の盧生という人が、旅の途中の邯鄲の町で、道士から出世が叶うという枕を借りて寝ると、出世して財力や権力を手に入れる夢を見た。目が覚めると、宿の主人に頼んでいた、粟のかゆが出来上がっていないほどのわずかな時間しか過ぎていなかったという故事から。
一寸光陰 いっすんのこういん
ほんのわずかの時間。わずかな時間を大切にしなさいという教えに使う。一寸の光陰軽んずべからず。
一寸丹心 いっすんのたんしん
いつわりのない真心。自分の真心をいう謙譲の語。ほんのちょっとの誠意の意から。
一成一旅 いっせいいちりょ
治めている土地が狭く、人民が少ないこと。
一世一元 いっせいちげん
天皇一代の年号を一つだけに定めること。明治から始まった。
一世一期 いっせいちご
一生涯を通じての間。一世一代。
一世一代 いっせいちだい
人の一生のうちで、たった一度の意。特に、役者などが一生涯にただ一度きりという得意の芸を演ずること。
一世木鐸 いっせいのぼくたく
人々の指導者のこと。
一世之雄 いっせいのゆう
その時代で一番すぐれた英雄。
一世風靡 いっせいふうび
ある時代で、ものすごく流行ること。草木が風で同じ方向になびくことを、その時代のたくさんの人がなびくことにたとえた言葉。(1級)頻出語。
一石二鳥 いっせきにちょう
一度の行動で二つの利益を得ること。または、一度の行動で、同時に二つの目的を達成すること。イギリスの諺"kill two birds with one stone"の訳。頻出語。
一殺多生 いっせつたしょう
一人の人を犠牲にして、たくさんの人が助かること。元は仏教の言葉で、たくさんの人を救うために、悪人一人を犠牲にすることは、望ましくはないが仕方ないという考えをいう。仏教的においの少ないいっさつたしょうと分けてみた。
一銭一厘 いっせんいちりん
ほんの少しの金銭のこと。または、非常に少ないこと。
一銭五厘 いっせんごりん
兵士として国民を徴集する命令書「召集令状」の郵便料金のことを言う。転じて兵士は葉書一枚程度の値の意味。
一箭双雕 いっせんそうちょう
一つの行動で二つの利益を得ること。一本の矢を一回放って、二羽の鷲を射るという意味から。北周の士から隋の将軍になった長孫晟が一本の矢で二羽の鷲を得た故事による。(1級)
一措一画 いっそいっかく
文字の一つの点、一つの筆画、主に漢字についていう。または、文字の一つ一つの細かいところに気をつけて、丁寧に書くこと。
一即一切 いっそくいっさい
一がそのまま全体であり、全体の中に個があると共に、個の中に全体が含まれているという考え。
一束一本 いっそくいっぽん
室町・江戸時代に行われた礼物の形。杉原紙一束(十帖)と扇一本を添えた。杉原紙(がみ)は奉書紙風でやや薄く武家の公用に用いられまた贈答品ともされたもの。
一体分身 いったいぶんしん・いったいふんじん
一つのものが複数のものに分かれること。仏教の言葉で、世の人々を救うために、仏が様々な姿になった現れたということから。
一旦一夕 いったんいっせき
「旦」は朝の意。一朝一夕と同義。
一短一長 いったんいっちょう
人や物には長所もあれば短所もあること。得意なことと苦手なことがあり、完全ではないということ。
一旦緩急 いったんかんきゅう
いざというとき。緊急時には。
一治一乱 いっちいちらん
世の中が治まったり乱れたりと繰り返し変化する様子。
一致協力 いっちきょうりょく
心を一つにして、力を合わること。
一致団結 いっちだんけつ
多くの人々がある目的に向かって心を合わせ、まとまって事を行うこと。
一知半解 いっちはんかい
知識が充分に自分のものになっていないこと。なまかじりの知識。半可通。
一致百慮 いっちひゃくりょ
物事を色々と考えても、結論は結局一つになるということ。
一調一管 いっちょういっかん
「一調」は能で一曲中の要所の一段を謡い小鼓・大鼓・太鼓のいずれか一種を合わせて打つ演奏形式。それに「一管」笛を加えた演奏をいう。
一張一弛 いっちょういっし
人に厳しくしたり、やさしく接したりすること。弦を張ったり弛めたりすることから。
一朝一夕 いっちょういっせき
ほんの少しの時間。あっという間の時間。「一朝一夕に出来ることではない」などと後に否定の語を伴って用いることが多い言葉。
一長一短 いっちょういったん
人や物には、長所もあれば短所もあるということ。いい面もあり悪い面もあること。
一超直入 いっちょうじきにゅう
すみやかに迷いを超越して、ただちに悟りの境地に達すること。ひとたび迷いを超越したら、回り道をせず、一足飛びにそのものの中に没入すること。
一朝之忿 いっちょうのいかり
少しの間、怒ること。(1級)
一朝之患 いっちょうのうれい
少しの間、心配すること。または、急に心配になること。
一朝富貴 いっちょうのふうき
急に富貴な身分になること。
一擲乾坤 いってきけんこん
自身の運命を賭けて、運まかせの大博打をすること。天地の命運を賭けて、賽子を一回振るという意味から。
一擲千金 いってきせんきん
一度に豪快に金銭を使うこと。または、思い切りよく行動すること。賭け事をして、一度の勝負に大金を賭けるという意味から。(1級)
一点一画 いってんいっかく
文字の一つの点、一つの筆画、主に漢字についていう。または、文字の一つ一つの細かいところに気をつけて、丁寧に書くこと。
一天四海 いってんしかい
全世界。
一天万乗 いってんばんじょう
一天万乗の君。天子や天皇のこと。
一刀三礼 いっとうさんらい
慎みを持って、深く敬いながら仕事をすること。仏像を作るときは、一彫りごとに三回礼拝するという意味から。
一刀両断 いっとうりょうだん
ためらうことなく、物事をすぐさま決断すること。または、思い切りよく、物事の始末をつけること。刀を一度振り下ろし、真っ二つに切断するという意味から。
一得一失 いっとくいっしつ
利益を一つ得ると、別の部分では一つ損失があること。利益と損失の両方がともにあるということから。
一徳一心 いっとくいっしん
目的や利益が同じ者同士が心を一つにして事にあたること。または、君主と臣下が協力して物事を行うこと。
一斗百編 いっとひゃっぺん
一斗の酒を飲む間に、百編の詩を作ること。酒を好み、詩作に才があること。
一登竜門 いっとりゅうもん
権力を持っている人に認められると、急激に世間の評判はよくなるということ。
「一登」は一回登ること。苦しく険しいことで有名な場所を一度でも登りきれば、名声を上げることが出来るということから。
一敗塗地 いっぱいとち
一敗、地に塗る。勝負に完全に負けること。
一髪千鈞 いっぱつせんきん
ものすごく危険なことのたとえ。髪の毛一本で千鈞20tの重さがあるものを吊り下げるという意味から。
一発必中 いっぱつひっちゅう
一度の機会で確実に成功させること。
一波万波 いっぱばんぱ
些細なことが、後に大きな影響を及ぼすことのたとえ。
一飯千金 いっぱんせんきん
ほんの少しの恩義でも決して忘れず、手厚いお返しをすること。一度の食事には千金もの価値があるという意味から。受けた恩義がどれほど小さくても、それを忘れてはいけないという戒めの言葉。楚漢の時代の韓信は貧しく、老婆にしばらくの間食事を恵んでもらい、その後、出世して楚の王となり、その老婆を呼び千金を与えたという故事から。
一斑全豹 いっぱんぜんぴょう
一斑を見て全豹を知る。物事の一部を見てその全体を推し量る。視野が狭いことをいう。晋の王献之が幼い時に、学生たちが博打のようなもので遊んでいるのを見て、とある学生の負けを予想すると、一部分だけを見て狭い見識で全体を判断していると言い返されたという故事から。
一飯之恩 いっぱんのおん
ほんのわずかな恩義のこと。一度食事をご馳走になっただけの少しだけの恩義という意味で、そのような少しの恩義でも忘れてはいけないという戒めの言葉。
溢美溢悪 いつびいつあく
ほめすぎと、けなしすぎ。過度の賛辞と悪口のたとえ。
一筆啓上 いっぴつけいじょう
一通の書状で申し上げるの意で、男性が手紙の書き出しに用いる慣用句。
一筆勾消 いっぴつこうしょう
今までのものを全て取り消すこと。一筆勾銷とも書く。
一瓢一箪 いっぴょういったん
一箪の食(し)一瓢(いっぴょう)の飲(いん) 粗末な少量の飲食物。清貧に甘んじること。飲み物は一つの瓢、食べ物も一つのわりこに、という粗末な食事の例え。 つつましい暮らしのこと。
一顰一笑 いっぴんいっしょう
顔をしかめたり、笑ったりすること。ちょっとした表情の変化。また、人の顔色。機嫌。(1級)
一貧一富 いっぴんいっぷ
貧富の差によって、世間の目や交際の真実がはっきりわかるもので、貧乏になったとき他人の冷淡さが身にしみること。
一夫一婦 いっぷいっぷ
一人の夫と一人の妻によって成立する婚姻形態。一夫一妻。
一腹一生 いっぷくいっしょう
同じ父母から生れた兄弟姉妹。一腹一種ともいう。
一服一銭 いっぷくいっせん
昔、道端で一杯の抹茶を「一文」で売ったこと、またその商いをした人。
一夫多妻 いっぷたさい
一人の男性が多数の女性を妻とすること。
一碧万頃 いっぺきばんけい
大きい湖や海の水が、青一色で広々とたたえられていること。
一片氷心 いっぺんのひょうしん
俗世間の煩わしい事柄に染まらず、清く澄んだ心のこと。
一歩一喘 いっぽいちぜん
一足歩いては一息つく。険しい山道などを行く様子。
一歩一趨 いっぽいっすう
人が歩けば自分も歩き、小走りになれば、たいした考えもなく追従して小走りになること。
一飽一襲 いっぽういっしゅう
衣食のこと。自分が生活をしていく上で必要な食事・衣服などの意。
鷸蚌之争 いつぼうのあらそい
漁夫の利。両者が争ってるすきに、第三者に利益を横取りされることのたとえ。鷸(しぎ)と蚌(どぶがい)が争っているうちにどちらも漁夫に捕らえられたという故事から。(1級)
一本調子 いっぽんちょうし・いっぽんぢょうし
調子が同じで、変化に乏しいこと。また、そのさま。単調。
一本独鈷 いっぽんどっこ
仏具の独鈷に似た文様をひと筋織り出した博多織。男帯に用いられる。
乙夜之覧 いつやのらん
天子が書を御覧になること。読書の大切さをいうたとえ。 乙夜は、午後十時ごろ。唐の文宗は政務に忙しく、午後十時ごろになって、ようやく読書ができたという故事から。
夷狄之道 いてきのみち
野蛮人の道。礼儀にはずれた道。
意到随筆 いとうずいひつ
文章が自分の意のままに書けること。
意到筆随 いとうひつずい
意い到りて筆したがう。詩文などを作るとき、心のまま自然に筆が進むこと。
以毒制毒 いどくせいどく
毒を以て毒を制す。毒の効果を減殺するために他の毒を用いる。悪を除くのに別の悪を利用することのたとえ。
猗頓之富 いとんのとみ
膨大な財産のこと。または、大富豪のこと。猗頓は中国の春秋時代の大金持ちの名前。巨万の富を得た范蠡に、資産家の教えを受けた猗頓は、牛や羊を飼い、塩を作って富を築き、金持ちといえば猗頓と人々に言われるまでになったという故事から。(1級)
以肉去蟻 いにくきょぎ
蟻の好きな肉で蟻を追い払おうとすると、かえって無数の蟻が集まってくる。方法を間違うと逆効果を招くということ。
衣馬軽肥 いばけいひ
軽いごろもと肥えた馬。富貴な人のいでたち。転じて富貴な人。
倚馬七紙 いばしちし
優れた文才。倚馬の才。東晋の袁虎(えんこ)が,君主の桓温に布告文を書くように言われ,その馬前で七枚の長文をたちどころに書き,王珣(おうしゆん)に文才をほめられたという故事から。 (1級)
意馬心猿 いばしんえん
心に煩悩や欲情が盛んに動いて、心中の鎮まらないこと。頻出語。
衣鉢相伝 いはつそうでん
教法や奥義を伝え継承すること。弟子が師の教えを受け継ぎ伝えること。今では広く先人の事業や業績を継ぐことにもいう。もと仏教語。「衣鉢」は三衣さんねと一鉢で、袈裟けさと托鉢たくはつのとき施し物を受ける鉢のこと。師から教えを受けるとき、この法具を用いることから、転じて奥義、師から伝えられた教えの意。「相伝」は受け伝えること。「衣鉢」は「いはち」「えはつ」とも読む。
倚馬之才 いばのさい
馬に寄りかかって待つ間に、万言の文章を作るほどの優れた才。文章の天才。東晋の袁虎(えんこ)が,君主の桓温に布告文を書くように言われ,その馬前で七枚の長文をたちどころに書き,王珣(おうしゆん)に文才をほめられたという故事から。
夷蛮戎狄 いばんじゅうてき
中国の周辺部の異民族の総称。四方のえびす。東夷 とうい 、西戎 せいじゅう 、南蛮 なんばん 、北狄 ほくてきを略したもので、四方それぞれの方角の異民族の名称。(1級)
萎靡因循 いびいんじゅん
古い習慣にしたがって改めず、一時しのぎに間に合わせのやりかたをすること。また、消極的でぐずぐず迷っている様子。
萎靡沈滞 いびちんたい
物事の働きや動きが衰え、活気や勢いがなくなってしまうこと。(1級)
意必固我 いひつこが
意:主観だけで憶測する 必:自分の考えを無理に押し通す 固:一つの判断に固執する 我:自分の都合だけしか考えない。君子が絶つべき四つの欠点。
渭浜之器 いひんのき
大人(たいじん)となり得る器量の人物のこと。
渭浜漁父 いひんのぎょほ
古代中国で太公望と呼ばれ、活躍した呂尚のこと。転じて、優れた能力をもつ人物のたとえ。渭水で釣りをしていた呂尚は、周の文王に見出されて、後に大きな功績を残したという故事から。(1級)
移風易俗 いふうえきぞく
風俗や習慣をよいほうへ導き変えること。また、風俗や習慣を改めること。
遺風残香 いふうざんこう
昔の立派な人物や、すぐれた風俗のなごり。
威風堂堂 いふうどうどう
外見が立派であるさま。威厳があっておごそかなようす。
威風凛然 いふうりんぜん
威厳があり、凛々しい様。
威風凛凛 いふうりんりん
雰囲気に威厳があって、りりしいようす。雄々しく、きりりとした容姿、態度。
緯武経文 いぶけいぶん
学芸と武術の両方を重んじて、政治の土台にすること。文武の両道を兼ねた政治の理想的姿。武を横糸に文を縦糸にして、美しい布を織る意から。
異聞奇譚 いぶんきたん
珍しい、変わった話のこと。(1級)
韋編三絶 いへんさんぜつ
とじひもが3回も切れるほどくり返し熱心に本を読むこと。(1級)
以弁飾知 いべんしょくち
口先の弁舌で自分の知識を飾り立てようとすること。実力がないのに巧みな弁舌で知識があるようにみせかけること。
以暴易暴 いぼうえきぼう
暴力をもって暴力を制すること。
以貌取人 いぼうしゅじん
人の能力や言動を考えないで、容貌だけを見て人を採用すること。顔つきで人を判断すること。
移木之信 いぼくのしん
政府が公約を守り、政治に対する不信を除き、法の権威と秩序を示すたとえ。秦の商鞅(しょうおう)が国民の法令に対する信頼を得る手段として、都の南門に立てた木を北門に移した者には懸賞金を与えるという布告をし、布告通りに与えたという故事から。
葦末之巣 いまつのす
水辺の葦の先に巣を作る鳥は、いつも危険にさらされて落ち着かない生活をしなければならないということ。住居が不安定で危険なさま。
意味深長 いみしんちょう
言動や詩文などに深い趣や意味が込められていること。または、表に出ている意味とは別の意味が隠されていること。意味深という形で略して使うこともある。頻出語。
倚門之望 いもんのぼう
子の帰りを待ちわびる親の情のたとえ。子を思う親の愛情が切実なたとえ。特に母親の愛情についていう。門に寄りかかって望み待つ意から。(1級)
意欲満満 いよくまんまん
何かやりたい意欲がみちみちているさま。
以卵投石 いらんとうせき
卵を石に投げても石は傷つかない。むだで勝負にならず、損害ばかりで益のないこと。
衣履弊穿 いりへいせん
貧しい人のみすぼらしい服装。破れたり穴が開いた服や靴。
衣閭之望 いりょのぼう
子の帰りを待ちわびる親の情のたとえ。子を思う親の愛情が切実なたとえ。特に母親の愛情についていう。門に寄りかかって望み待つ意から。閭は村の入り口の門。
異類異形 いるいいぎょう
姿かたちが尋常でない、この世のものとは思われない化け物や妖怪の類。
異類中行 いるいちゅうぎょう
仏が衆生 しゅじょう を救うために、迷いの世界である俗世に身を投じること。また、禅僧が修行者を導くために、いろいろな方法を用いること。
異類無礙 いるいむげ
互いに異質なものが、拒絶することなく通じ合うこと。異類無碍とも書く。
異路同帰 いろどうき
異なった方法でも、同じ結果になるたとえ。道筋はそれぞれに違っても、行きつく先は同じである意から。
陰陰滅滅 いんいんめつめつ
気分が暗く気の滅入 めい るさま。また、暗く陰気で物さびしいさま。気分や雰囲気にいう。
員淵方井 いんえんほうせい
四角い天井に丸い淵を描く。
隠晦曲折 いんかいきょくせつ
言い方が遠回しではっきりしないこと。
飲灰洗胃 いんかいせんい
心の奥底から悔い改めて再出発すること。心底から改心するたとえ。灰を飲んで胃中の汚れをきれいに洗い清める意から。
因果因縁 いんがいんねん
物事を成立させる原因と、それによって生じる結果。
因果応報 いんがおうほう
よい行いには必ずよい報いがあり、悪い行いには必ず悪い報いがあるということ。過去および前世の因業に応じて果報があるという意。現在では、悪い行いの報いの意味で使われることが多い言葉。
因果関係 いんがかんけい
結果と原因の間に何らかの関係があること。
因果覿面 いんがてきめん
悪事の報いがすぐに現れること。(1級)
飲河之願 いんかのねがい
どぶねずみは広大な黄河の水を飲んでも腹をいっぱいにする以上は飲めない。人には、それぞれ定まった分があるのだから、それに満足しなければいけないというたとえ。
飲河満腹 いんがまんぷく
自分の身分をわきまえ、安らかに暮らすさま。どぶねずみは広大な黄河の水を飲んでも腹をいっぱいにする以上は飲めない。人には、それぞれ定まった分があるのだから、それに満足しなければいけないというたとえ。
殷鑑不遠 いんかんふえん
殷鑑遠からず。身近な失敗例を自分の戒めとせよというたとえ。また、自分の戒めとなるものは、近くにあることのたとえ。中国の古代王朝は夏から始まり、殷、周と続く。殷王朝の戒めとなるよい見本は遠くに求めなくても、すぐ前代の夏王朝の暴政による滅亡があるという意。(1級)
因機説法 いんきせっぽう
その場その場に対応して仏法の真理を悟らせようとする説法。
婬虐暴戻 いんぎゃくぼうれい
女色に溺れ、暴虐で人倫を乱すこと。淫虐暴戻とも書く。(1級)
韻鏡十年 いんきょうじゅうねん
漢字、漢文の音韻学は非常にむずかしく、音韻の研究書「韻鏡」を十年引いても難解ということ。
引据剪裁 いんきょせんさい
古人の文章を切り取ってつなぎあわせること。
慇懃尾篭 いんぎんびろう
丁寧の度が過ぎて不快感を与えること。
慇懃無礼 いんぎんぶれい
言葉や物腰が丁寧すぎて、かえって礼儀にはずれていること。丁寧な態度に反して尊大。(1級)頻出語。
咽喉之地 いんこうのち
戦略的に見て、国の一番重要な土地をいう。
飲至策勲 いんしさっくん
勝利の戦争から戻って廟に参内し、酒を飲み、戦の手柄を記録すること。
淫祠邪教 いんしじゃきょう
いかがわしいものを神に祭る宗教や世を乱す宗教。また国家権力ないし支配者によって,反体制的な傾向を持つとみなされた民間信仰,宗教のこと。
因循苟且 いんじゅんこうしょ
古い習慣や方法にこだわり、一時しのぎの手段をとることです。また、決断力がなく、煮え切らない様子を指す。(1級)
因循姑息 いんじゅんこそく
古い習慣にしたがって改めず、また、一時しのぎに間に合わせのやりかたをすること。また、消極的でぐずぐず迷っている様子。
因循固陋 いんじゅんころう
古いものに執着し,新しいものを受け入れようとしない・こと(さま)。かたくな。
因循守旧 いんじゅんしゅきゅう
旧習を守って改めようとしないこと。しきたりどおりにして改めないこと。
因小失大 いんしょうしつだい
目先の小利をむさぼって大利を失う。
印象批評 いんしょうひひょう
一定の方法や判断基準にとらわれず,作品から受けた個人的な印象に忠実であろうとする批評。
引縄批根 いんじょうへいこん
縄をつけて引き、根こそぎ取り払うこと。力を合わせて他を排斥すること。(1級)
飲食之人 いんしょくのひと
飲み食いするだけの人。何の役にも立たない人のたとえ。
飲水思源 いんすいしげん
物事の基本を忘れないこと。また他人から受けた恩を忘れてはいけないということ。
隠姓埋名 いんせいまいめい
姓名を隠し、偽名を使って世渡りすること。また、改名したりして他郷に逃亡するたとえ。
飲鴆止渇 いんちんしかつ
後のことは何も考えず、目先の利益を得ること。または、一時逃れをしてあとで大変な災いを招くこと。鴆は羽に猛毒をもつ鳥の名前で、この羽が入っている酒を喉の渇きを癒すために飲むということから。(1級)
陰徳陽報 いんとくようほう
人知れず善行を積めば、必ずよい報いとなって現れてくるという意味。
隠忍自重 いんにんじちょう
怒りや苦しみなどをぐっとこらえて、軽はずみな行動をしないこと。または、そうすべきであるという戒めの言葉。
允文允武 いんぶんいんぶ
文武ともにすぐれていること。君主をほめたたえる語。
陰謀詭計 いんぼうきけい
密かにたくらむ悪だくみと人をあざむく計略策謀。(1級)
引喩失義 いんゆしつぎ
つまらない前例やたとえを引いて正しい本来の意義を見失うこと。諸葛亮孔明の有名な出師の表の一節に「不宜妄自非薄、引喩失義、以塞忠諫之路也。」とあり、劉備の息子で皇帝となっていた劉禅に注意を促している。
陰陽五行 いんようごぎょう
天地間にあって、万物を造り出す陰と陽の二気と、天地間に循環流行して、万物を生じるもとになる水・火・木・金・土の五つの元素。万物の構成要素。古来、これらの要素の消長などによって、吉凶禍福など万象を解釈・説明しようとした陰陽五行説が行われ、いろいろな迷信が生まれて、人々の生活に大きな影響を及ぼした。日本の陰陽道おんようどうもこの流れを汲くんでいる。